下肢静脈瘤の治療
足のむくみやクモの巣状静脈瘤、
下肢静脈瘤は新宿区の四谷・血管クリニック
下肢静脈瘤の治療
【下肢静脈瘤の治療はどうしよう・・・】
「下肢静脈瘤」の治療は、逆流防止弁が壊れてしまった静脈の治療と、ふくらはぎなどに大きく拡張した静脈の治療に分けられます(どちらが最初にすべき治療でしょうか)。
「下肢静脈瘤」という病気の状態は、たとえるならば、開けっぱなしになった蛇口につながれたホース、ホースの下に置かれたバケツ、といった状態に似ています。蛇口が開きっぱなしなのでバケツはあふれてしまっています。
開けっぱなしの蛇口とホースが、逆流防止弁の壊れてしまった「大伏在静脈」や「小伏在静脈」をあらわします。あふれてしまったバケツが、ふくらはぎなどに大きく拡張した静脈や、むくみなどの症状をあらわします。
蛇口が開きっぱなしでバケツから水があふれている場合、3つの対処法が考えられます。
●1つ目は、バケツをひっくり返して空にすることです。治療で言えばふくらはぎに大きく拡張した静脈を切り取ってしまうことですね。これで十分でしょうか?蛇口は開きっぱなしなのでいずれまたバケツはあふれます。つまり静脈瘤はほとんど再発します。なにより、蛇口が開いているので、足のむくみやツリといった症状は良くなることは期待できません。
●2つ目は、ホースを途中で踏んづけてしまう方法です。糸で縛ってもいいかもしれません。治療で言えば、「大伏在静脈」や「小伏在静脈」を縛ってしまう方法です。しかし、蛇口から出る水の水圧はかなりのものです。踏みつける力が足りないかもしれないし、糸は切れてしまうかもしれません。静脈瘤や症状は高い確率で再発します。
●3つ目は、蛇口を閉めること、ホースをとってしまうことです。治療で言えば、「大伏在静脈」や「小伏在静脈」をなるべく長い範囲で、閉塞(へいそく)させたり取り除くことです。バケツはもうあふれませんね。静脈瘤は程度に差はありますが、ほとんど小さくなります。
さて、皆さまはどの方法が合理的だと考えますか?
当然3つ目の方法ですね。
血管を閉塞(へいそく)させる方法が、近年主流になりつつある「血管内レーザー治療」です。
血管を取り除く方法が、昔からの「ストリッピング手術」です。
下肢静脈瘤の治療のこと
さて、下肢静脈瘤をどのように治療するかで、5つの考え方があります。
1つ目は原因血管を閉塞(へいそく)させる方法、血管内レーザー治療で、2つ目は原因血管を取り除いてしまう方法、ストリッピング手術、3つ目は原因血管を縛る方法、高位結紮術、4つ目は静脈瘤に直接細い針を刺し硬化剤を注入する硬化療法、5つ目はクモの巣のような静脈瘤に直接皮膚の表面にレーザーを照射して消失させる方法です。
- 血管内レーザー治療法
- ストリッピング手術
- 高位結紮術
- 硬化療法
- 皮膚照射レーザー
①治療内容:皮膚表面にレーザー光を照射し、血管内の血液と反応させて血管を内側から破壊し、閉塞・吸収させる方法です。直径3㎜の照射を繰り返して行っていきます。
②料金:料金は1ショット220円(税込)です。総額はショット数によります。
③回数・通院頻度・期間:4カ月に1度のペースで施行し、通常で2、3回で終了します。
④副作用・リスク:合併症として、皮膚の色素沈着が起こることがあります。
下肢静脈瘤治療法その1:血管内レーザー/高周波治療
この方法はレーザーで原因血管を閉塞(へいそく)させる方法です。太ももの内側の静脈が原因の場合、膝のあたりからカテーテルというボールペンの芯程度の細い管を挿入します。そしてその中にファイバーを入れて、血管の内側からレーザーを照射し血管を閉塞(へいそく)させます。
この方法の利点は、治療時間が片足15分弱で終了し、当日から普段の生活ができることです。入院の必要はありません。術後の痛みや内出血も手術より少なくなります。治療成績は手術とほぼ同等と考えられています。
当院の特徴として、下肢静脈瘤の血管内レーザーでのカテーテルの挿入に皮膚を切開することはありません。針を使って行うため皮膚に傷が残りにくいです。
当院では、新しい血管内レーザー機器を導入し、従来の機器による治療よりさらに痛みと内出血を軽減させております。長年血管内治療に携わっている医師が担当いたします。
また、大学病院、関連病院との連携も常時保たれており(日本医科大学付属病院にて週1回、静脈外来担当)、心地よく治療をお受けしていただけるものと考えております。
下肢静脈瘤治療法その2:ストリッピング手術 ※当院では行っておりません。
原因血管を手術で取り除いてしまう方法です。
太ももの内側の静脈が原因の場合には、足の付け根と膝の付近の皮膚を切開し、血管を露出して血管の中に金属製のワイヤーを通します。
そしてワイヤーと血管を絡みつけ、血管を引き抜くやり方です。
ストリッピング手術では、皮膚に切開した傷が残ります。術後にある程度の痛みがあり、血管に沿って内出血が生じます。
現在の日本の医療状況では、通常入院で行っています。
理由は切開の大きさと感染の予防、術後の疼痛管理、などの理由があげられます。
下肢静脈瘤治療法その3:高位結紮術
下肢静脈瘤の原因となっている逆流血管を結紮(けっさつ)する方法です。皮膚に局所麻酔を行い、1~2㎝皮膚を切開し、原因となっている血管を縛ります。局所麻酔しか用いません。
※高位結紮術もストリッピングと同様当院では行っておりません。
多くは原因血管が屈曲・蛇行している時に行われていましたが、近年のレーザーファイバーの進歩により、血管内レーザー治療で対応可能になりました。
下肢静脈瘤治療法その4:硬化療法
小さな静脈瘤に対してや血管内レーザー/高周波治療の後に追加治療として行います。
静脈瘤に直接細い針を刺し、硬化剤という薬を注入します。硬化した静脈瘤は半年程度で吸収されて消失します。
当院では、皮膚に埋もれた表面から見えない静脈瘤に対しても超音波を使って硬化療法を行うことができます。
下肢静脈瘤治療法その5:皮膚照射レーザー
注射して行う硬化療法ができない位、細かい下肢静脈瘤に対しては直接皮膚の表面にレーザーを照射して消失させる皮膚照射レーザーがあります。
マッチ棒より太い静脈瘤には合わないですが、クモの巣のような静脈瘤には有効です。(自由診療となります。)
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下肢静脈瘤の古典的手術方法
下肢静脈瘤の古典的で代表的な手術として挙げられるのが、ストリッピング手術です。このストリッピング手術は下肢静脈瘤に対する根幹的な治療の1つと言われており、具体的には下肢静脈瘤の原因となっている弁不全静脈を抜き取ってしまいます。もともと体に備わっている機能を取り除くことになるため術後に激しい痛みがあるのではないかと思われる方もいらっしゃいますが、痛みの程度は弱いと言われています。
具体的には、ひざ下などに数センチ程度の小切開を加えてストリッピングワイヤーを挿入し、麻酔で出血や痛みを抑えた後に静脈を取り除くことになります。手術は1時間程度で終わってしまうことが多いです。このストリッピング手術をすれば再発率を低く抑えることができると言われていますが、実際は何%かの確率で再発し、また、周りに存在する知覚神経にダメージを与える可能性もあります。そのため、血管外科の担当医と相談して治療方法を決める必要があります。
手術が終わったら、数日は包帯を巻いて生活することになりますが、それ以降は弾性ストッキングに履き替えます。それ以外は、基本的にいつも通りの生活を送ることが可能です。しかし、手術後ですので激しく足を動かしたり走ったり運動したりといった行為は避けた方が無難でしょう。
術後は、経過を見ながら決めることになりますが、通常は1週間後に抜糸をすることができるはずです。
手術なしで下肢静脈瘤を治療するには?
悪い病気が見つかったら手術しなければならないと考える方も多いかもしれませんが、同時に手術は怖いからしたくないと感じる方はたくさんいらっしゃいます。下肢静脈瘤も、症状によっては手術をした方がよいケースがあります。下肢静脈瘤は手術自体も簡単に終わるものですが、手術をせずに症状を軽減させる方法も存在します。
具体的には、生活習慣を改善することによって下肢静脈瘤の症状をやわらげたりすることができますし、弾性ストッキングを着用することによって症状を軽減させることができます。しかし、外科治療とは異なり、根本的な下肢静脈瘤の治療ではありませんので勘違いしないようにしましょう。
例えば日常生活において、定期的に運動を行ったり患部をマッサージすることによって症状がよくなる場合もあります。下肢静脈瘤は、足の静脈の弁が壊れることで血液が心臓にうまく戻らなくなることでおこる病気です。つまり、人工的に血液を心臓に戻すことができれば症状をやわらげることができるのです。
立っている時間が長いと血液が重力に負けて心臓に戻っていかないので、運動をして足を刺激してあげたりマッサージで足の下の方から付け根の方に向かってもんであげたりするのもよいでしょう。また、単純に寝転んで足を高くあげるだけでもよいので、気軽にできるのではないかと思います。取りあえず今は保存的治療をしたいという方は、ご自身でできるところから始めていきましょう。
下肢静脈瘤の硬化療法
硬化療法とは、下肢静脈瘤の症状が出ている部分に、直接注射をして固めてしまう治療法になります。固めてしまうとなんだかよくないようなイメージもありますが、実際にこの硬化療法によって下肢静脈瘤の症状がなくなるケースも多いです。単純に、治療によって血管を固くすることから硬化療法と呼ばれています。
具体的には、静脈瘤に直接硬化剤を注射します。硬化剤によって静脈を固めれば小さくなりますので、血液がたまることによって発生するだるさやむくみなどを和らげることが可能なのです。
硬化療法は、わずか10分程度で終わる治療法です。1回から2回の治療で済んでしまいますので、非常に簡単な治療法の1つと言えるのではないかと思います。ただし、静脈瘤の症状が大きくあらわれている状態に利用してもよい作用がない可能性がありますので、ご自身の状態を把握したうえで利用する治療法を決める必要があります。
もちろんご自身で判断することはできないかと思いますので、血管外科の担当医と相談しながら治療法を決めていくことになります。最近は、硬化剤だけではなく硬化剤に空気を混ぜたフォーム硬化療法が一般的になっています。
下肢静脈瘤の血管内治療
下肢静脈瘤の治療法の1つに原因となっている血管を体内で焼いてふさいでしまう血管内治療が挙げられます。それに対しストリッピング手術は原因となっている血管自体を取り除く方法となっています。では血管内治療とは具体的にどのようにして行われるのでしょうか?
血管内治療では、静脈の中にカテーテルを入れて内側から熱を加えて焼いていきます。静脈を焼いてしまうと固く縮むことになりますし、治療をしてから半年くらいたつと体に吸収されてなくなってしまいます。手術自体は、局所麻酔で細い管を体内に差し込むだけですので、ストリッピング手術と比べても体に負担の少ない治療法と言えます。
血管内治療には、大きく2つの方法があります。1つがレーザーを用いるレーザー治療、もう1つが高周波を利用した高周波治療になります。どちらの方法にも保険が適用されていますし、術後の痛みも少ないです。また、体内にカテーテルを入れるのですが、皮下出血もほぼ抑えられるため、あらゆる面でより良い治療法と言えます。
しかし、症状などによってはこの血管内治療が適していないケースもあるでしょう。まずはご自身の下肢静脈瘤の症状を把握して、担当医と相談しながら治療方法を見つけていくようにすればよいと思います。足のふくらみが気になってきたら、取りあえず血管外科を受診してみてもらうようにしましょう。
治療の流れ
初診(1日目)
受付 |
初診の方は問診表の記入をしていただきます。 |
問診 |
視診・触診にて足の状態を診ます。 |
超音波検査 |
血栓の有無・静脈瘤の原因となる血管を超音波で確認します。 |
診察 |
治療方法をご説明・ご相談します。 |
- 血管内レーザー/高周波治療(保険治療)
- その他(結紮(けっさつ)術・硬化療法)(保険治療)
- その他(皮膚照射レーザー)(自由診療)
当日(2日目)
術前検査 |
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血液検査結果に2日程かかりますので、最短でも2日後の治療になります。 | |
診察 |
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更衣(こうい) |
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治療 |
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診察 |
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経過観察(1週間後)
診察 |
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超音波検査 |
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弾性ストッキングのご紹介
弾性ストッキングは脚部のむくみや血管の浮きなど、静脈環流障害の方に医師の指導のもとでご使用いただくものです。足を圧迫することにより(図1:圧迫療法)、血液のうっ滞をとることを目的にしており、特殊な編み方により、足をしっかりと圧迫するように作られています。圧迫力は足首から上にいくほど段階的に低くなるように作られておりますので、血液が心臓方向へと流れやすくなり、静脈環流が自然に促されます。
弾性ストッキングの圧迫力はいくつかに分かれており、その圧迫力により治療結果が異なってきます。また、足の太さに応じてサイズが分かれているため、足首とふくらはぎの太さを測ってサイズを決めます。正しく使用しないと十分な結果を得られないため、医師や弾性ストッキングコンダクターの指導のもと症状に合わせたストッキングをご使用いただく必要があります。
弾性ストッキングの着用は静脈瘤の根本的な治療にはなりませんが、足のむくみや痛み、だるさなどの症状は軽減しますし、静脈瘤の予防にもなります。
図1:圧迫療法